派閥解散の行きつく先

政治

自民党茂木派が17日の総会で、政治団体「平成研究会」の解散を決めました。岸田首相が1月に、自らの出身派閥である宏池会の解散を表明して3カ月。これで党内6派閥のうち、残るのは麻生派だけになりました。

政治資金パーティーをめぐる裏金事件で、新聞やテレビは「派閥が温床になった」と責め立てます。もちろん使途不明の裏金づくりや、実力のない大臣を派閥がごり押しするなど論外です。ただ、総理・総裁を誰にするかでいくつかのグループに分かれるのは当然のことでは?

派閥解散は独裁招く

そんなことを考えていたら、18日の日本経済新聞に法政大学の河野有理教授のこんなインタビューが載っていました。

衆院への小選挙区制導入など1990年代の政治改革がめざしたのは、党首や党執行部への権限の集中だった。実際、この30年間で派閥の弱体化は進み、首相の奇手は空洞化していた派閥への「最後の一押し」に過ぎなかった。
一方、派閥は党内ガバナンスを保つとともに、次世代リーダーの育成機能を備えていた。その派閥がなくなり、党本部への中央集権が進めば、独裁かアナーキーに帰結する。有力なポピュリストに突然、党を乗っ取られることも中長期的にはありうる。
看板の掛け替えはあっても派閥が完全に消滅することはないと思う。あるとしたら、共産党の民主集中制のように党内の多様な意見を押さえつける超強力な中央集権だ。(要旨=文責・一茶ん)

私自身、かつて自民党を取材し、派閥の権力闘争の激しさを目の当たりにしました。1979年の「四十日抗争」のような混乱や金権選挙も招きましたが、派閥間の競争と妥協を通じて妥当な結論を導き出す効用もあったと思います。「安倍一強」の下でそんな美風もずいぶん損なわれましたが。

自由な党風残せ

自民党と対極の組織原則を持つのが日本共産党です。「民主集中制」を掲げ、分派活動を許しません。昨年2月には党首公選制導入などを求める著書を出版したベテラン党員が除名されています。

時事通信によると、今年1月の党大会で、代議員の神奈川県議が「問題は出版より除名ではないか。排除より包摂を」と処分に異を唱えました。すると、この直後に新委員長に選ばれる田村智子氏が「批判の矛先を180度間違えている」「問題の政治的本質を全く理解していない」と激しい口調で畳みかけたました。地方議員らからXで「この糾弾はハラスメントだ。謝罪と撤回が必要」などの投稿が相次いだそうです。

自民党にはしっかりしてほしい。同時に自由闊達な党風も失わないでほしい。贅沢な望みでしょうか?

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